滋賀県守山市、琵琶湖のほとりに「Rose Farm KEIJI」というバラ農園があります。
「和ばら」は三代続く國枝家のバラ農園で、日本の文化・美意識を反映した品種として産出されました。ここでは商標登録品種としての和ばらについて書いていきます。
商標登録された品種
バラを表記するとき、私たちはバラ(カナカナ)、ばら(ひらがな)、薔薇(漢字)、rose(英語)を用います。
その中でもRose Farm KEIJIにて作出された品種としてのバラを語る際は、商標登録されたWABARA、和ばら、わばらが用いられます。品種としては枝替わりを含めて60種類以上を誇ります。
日本人が、日本国において多くのバラの品種を作出している中、「和ばら」と表記されるのはRose Farm KEIJIの品種のみです。
イングリッシュローズがデビッドオースチン社のブランド登録を受けた名称であるように、和ばらもまた、限定した名称として扱われます。
かつてF&Gローズとして販売されていた
2021年以前、和ばらは京阪園芸「F&Gローズ」のタグをつけて、全国の園芸店で販売されていました。
F&Gローズとは「切り花品種の花もちの良さと多様性、そして栽培する楽しみを併せ持つ品種群(京阪園芸公式サイト内 https://keihan-engei.com/baranae/fgrose)」として、Rose Farm KEIJI 國枝啓司氏の和ばらを中心に展開されてきました。
2021年以降の和ばらを取り巻く動きは以下をご参照ください。
現在、和ばらは「F&Gローズ」としては販売されていません。
愛される品種の特徴
日本情緒にあふれる、たおやかで、しなやかで、草花のように風景に溶け込む愛らしい姿をしています。
細い枝に中大輪の奥ゆかしさを感じる花を咲かせ、彩度にくすみを含んだグレイッシュな色は見る者を魅了します。もともとは切り花品種であることから花もちが良く、花束としての流通も盛んです。
園芸苗の生育は、樹勢や耐病性の弱い品種も含まれていることから、手をかけるほどに美しく咲くと言って良いと思われます。
園芸苗と「おへやで育てるばら」
室内での栽培ができるよう工夫された商品で、ロックウールに植えられた新苗のような苗、「おへやで育てるばら」が発売されています。
インスタグラムにて「#わばら栽培研究所」をハッシュタグとして投稿してもらう試みで、研究員同士の交流や、公式サイトでの質問回答などの商品展開がなされました。
長く室内で栽培していくのには工夫が必要な様子で、鉢栽培に切り替えたとの報告や、もともとの繊細さから枯れてしまったとの報告も散見されました。
限定された購入方法と種苗法上の懸念点
園芸苗としては会員への受注販売や、寄付を主体としたサポーターへの返礼、またふるさと納税の返礼品としての購入が可能です。
一方で、メルカリなどのネットショップでの挿し木苗の売買など、種苗法に違反する取引も多く見受けられます。
まとめ
商標登録された名称独占の品種であり、購入方法が限定されてきていますが、その品種としての美しさは筆舌に尽くしがたく、園芸苗としては希少性が高く、今後も愛され続ける和ばら。
今後も和ばらを取り巻く変化を見つめながら、手もとの苗を育てていきたいと思います。
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