買いにくくなっちゃったな、と思います。
バラ専門店から「今後は入手困難」と知らされた
2021年の年初、九州のバラ専門店でひよりを購入したところ、以下の受注メールが届きました(若干要約しています)。
「この品種はもともと樹勢のいい品種ではないため、他のバラに比べると枝が細く見た目が少し寂しい感じはしますが、根はしっかりしているので生育には問題ありません。木が充実するのに少し時間がかかりますが、綺麗なお花を咲かせると思います。ご都合が悪い場合はお知らせください」
ひよりが貧弱な見た目であることは知っています。でも爪楊枝のような細い枝にたくさんの花をつけることも知っているのです。おそらくひよりを育てたことのないお客さんが不安にならないようにと事前告知してきたのだと思いました。そして、
「なお、ライセンスの関係で今後販売される予定は今のところないようですので、入手困難な品種です」
と、続き、えっ?と声が出てしまいました。
もう販売されないの????
園芸店にはまだ売っていた
驚いた僕は、京阪園芸に向かいました。そこにはひよりが、F&Gローズのタグがついたまま販売されています。これから生産されないということなのか気になり、店員さんに尋ねました。
「あー、和ばらはねぇ……」
えっ、ひよりだけでなくて、みさきも、たまきも、つきよみも????
和ばらは繊細で、コルデスやメイアンのバラと比すればうちの庭では育てづらく、一方でとても美しく咲くため大好きな品種でした。さらに、ひよりは僕が初めて育てたバラ、すなわちファーストローズです。だからもう出会えないのか、それはさみしい……と思っていたところ、店員さんはこう続けたのです。
「自分のとこで売って、もう卸さないんですよ」
えっ?
手に入らないわけではないの???
和ばらを取り巻く環境を知る
何が何だか、という感じで混乱したまま帰路につき、とりあえず和ばらについて調べてみることにしました。
そこでわかったのは、僕が「和ばら」と呼んでいたバラたちはRose Farm Keijiという会社が商標登録しているバラを指すということ。
「和ばら、WABARA、わばら」が登録されているのです。
すなわち、和ばらとはRose Farm Keijiが作出・商標登録しているバラを指し、その他の日本のバラは和ばらではないのだ、ということです。
えっ、真宙も彦星も乙姫もパウルクレーも、日本の会社が作出したバラは「和ばら」ではないの???
しかし次の瞬間に自分を納得させます。「イングリッシュローズ」がデビッドオースチン社のブランド名として呼ばれ、イギリスのバラすべてを「イングリッシュローズ」と呼ばないことと同じなのだ、と(登録上の違いはあるのでしょうが……)。
手に入らないわけではないが……
40年にわたって作出されてきたRose Farm Keiji社のバラを守るため、と公式サイトには説明がありました。種苗法に違反したネットオークションの現状など、悩ましい問題がそこにはあるようでした。
ただ、以降は公式サイトにて年間10万円か5万円の会員登録をして、園芸苗の受注販売を受ける(苗代は別)か、1万円のサポーターとなって1苗をもらうかしか選択肢がなくなりました。
現在はふるさと納税にて返礼品として受け取る方法もありますが、なんにせよ購入するには金がかかるようになった、と即座に思いました。
だいたい大苗は4,400円前後という価格認識である僕にとっては、手痛い出費でした。ただ、その当時は京阪園芸には大量の和ばらの在庫があり、より取りみどりで問題なく購入できたため、すぐに困ることはありませんでした。
そして10万円のプラン会員になり、公的に数十苗を購入しました(プラン自体は1年で解約しました)。
まだ、たまに各園芸店に和ばらの在庫はあるようです。2023年の春のまつおえんげいにも、あおいのスタンダードローズが販売されているのを見かけました。
ただ、今ある苗が枯れたら、気軽に新しく購入することはできないんだな……と思うと、当たり前のことではありますが大切に育てようという思いを新たにするのでした。
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